話題のIPOが負ける理由 ― 過去20年のデータが示すもの
話題のIPOが負ける理由 ― 過去20年のデータが示すもの
繰り返されるパターン
私は30年間投資をしてきた。その間、何百ものIPOを勧誘された。買わなかったことを後悔しているのは正確に一つ ― Googleだけだ。残りは、買わなかったのが正解だった。
パターンは十分に一貫していて、もはやランダムではない。
フェイスブック、2012年。 当時史上最大のテックIPO。38ドルで開始し、すぐに下落した。買い手が損益分岐に戻るまで1年以上かかった。結果的にはうまくいったが、「結果的に」が重い言葉で、うまくいかなかったIPOの話は語られない。
ウーバー、2019年。 みんな使っていた。「ノーブレイナー」と言われた。初日に下落し、IPO価格を回復するまで4年かかった。
市場全体の数字
個別事例より、全体データの方が厳しい。
- 上場10年後、IPOの71%がIPO価格を下回る価格で取引されている。 29%だけが上回る ― そして「上回る」は幅広い
- 派手で有名な大型テックIPOだけを選んでも、20年累計リターンは約490%
- 同期間のS&P 500: 約800%
ベストケースを選んでも指数を下回る。さらに490%のかなりの部分はGoogleが平均を押し上げた結果である可能性が高い。Googleを除けばギャップはさらに広がる。
なぜ構造がこの結果を生むのか
ランダムではない。仕組みがこちらに押している。
- ロードショーは分析ではなく営業だ。 IPOを担当する投資銀行員はアナリストではなくセールスだ。仕事はブックを埋めるほどディールを盛り上げること
- 機関投資家が先に取る。 大型ファンドと銀行は、公開取引が始まる前にオファー価格で割当を受ける
- 個人はピークで買う。 公開取引が始まる頃には、価格はロードショーが作った興奮を反映している。そこに新規資金が入る
会社が良くても悪くても、このパターンはほぼ同じように働く。悪ければ株価は死ぬ。良くても価格が価値を先走ったので、ファンダメンタルズが追いつくまで数年かかる。
Googleが例外だった理由
2004年にGoogleがIPOしたとき、会社は既に黒字で、既に支配的だった。売上も利益も両方成長していた。検索広告モデルは実証済みだった。そしてIPO価格は下のビジネスに対して相対的に妥当だった。
ここが本当の教訓だ。Googleが勝った理由はIPOだったからではない。収益性のある支配的なビジネスを妥当な価格で買えたからだ。それがたまたまIPOのタイミングだっただけだ。同じ構図は5年後でも機能しただろう。
次のIPOにどう向き合うか
- 初日の購入を「機会」ではなくセールスの結果として扱う
- 価格が落ち着くまで6〜12ヶ月待つ。良い会社はその後も良い
- 興奮が消えた後にファンダメンタルズを再検証する: 売上、利益、キャッシュフロー、堀、価格
- それでも買いたければ、失っても困らない「ファンマネー」のサイズに留める
興奮で買えば興奮で売る。ファンダメンタルズで買えばファンダメンタルズで持てる。時間が経つほど、二つのゲームの結果は分かれていく。
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