オプティマスV3と無監視ロボタクシー:テスラは本当に自動車会社をやめつつある
オプティマスV3と無監視ロボタクシー:テスラは本当に自動車会社をやめつつある
テスラはリアルタイムで自社を再定義している
決算説明会でのマスク氏の発言をもう一度引用する。「オプティマスはテスラ最大の製品になる。いやテスラだけではなく、人類が作り出した中で最大の製品になるだろう。」彼はこの結論に100%確信していると述べた。
こうした発言自体は珍しくない。違うのは、今回は同じ四半期にフリーモント工場のモデルS/Xラインをオプティマスラインへ転換するという具体的な資本配分決定が伴っているという点だ。物語と資本支出がようやく同じ方向を指している。
オプティマス:スケジュールとスケール
マスク氏はオプティマスV3の量産開始を7月末〜8月初旬と語った。詳細は意図的に隠している — 競合他社が公開映像をフレーム単位で分析し、デザインをそのまま模倣しているからだという。
サードパーティ利用は2027年を目標としている。来年から他社、そしていずれは一般消費者がオプティマスを購入またはリースする想定だ。マスク氏が描く長期スケールは年間数千万台 — 想像することすら難しい数字だ。
ロボタクシー:すでに無監視で走行中
ロボタクシーはオプティマスより速く進んでいる。無監視(unsupervised、車内に安全要員なし)サービスがダラス、ヒューストン、オースティンの一部に拡大した。Q1の一四半期だけでロボタクシー走行距離はほぼ倍増している。
加えてサイバーキャブ専用車両の量産スケジュールが組まれており、テスラ自社設計のAI5チップは設計最終段階にある。車両・ソフトウェア・半導体の垂直統合へ向けた賭けだ。
見逃せない空白
カリフォルニア州で商用ロボタクシー運行に必要な許可申請は、まだ提出すらされていない。世界で最も重要な自動車市場の一つで規制プロセスが始まってもいない、ということだ。テキサスでの限定展開とカリフォルニアの真空の間にある乖離は無視できない。
マスク氏のトラックレコードも正直に見るべきだ。2019年、彼は2020年末までに100万台のロボタクシーが路上に出ると語った。2021年には2022年にはオプティマスを展開可能と語った。結果は周知の通り。ビジョンは通常最後には実現するが、スケジュールはほぼ常に遅れる。
私が実際に追っている指標
私が見ている信号は二つ。オプティマスV3が約束された7月末の枠で実際に量産ラインから出てくるかどうか、そしてカリフォルニアの許可申請がいつ動き出すか。この二つが、ビジョンを株価に織り込んで良い時点を教えてくれる。それまでは、株価がビジョンと並走しているのではなく先走っていると見ている。
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