S&P 500が9%上昇──しかし米国150業種のうち64業種が静かに崩壊している

S&P 500が9%上昇──しかし米国150業種のうち64業種が静かに崩壊している

S&P 500が9%上昇──しかし米国150業種のうち64業種が静かに崩壊している

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史上最高値が覆い隠す半分の崩壊

インデックス投資家にとって最も不都合な事実から始めます。私が毎週追っている米国150業種のうち、約55%は上昇中、64業種は下落中です。つまり上昇業種より下落業種の方が多いのに、S&P 500は史上最高値圏で取引されている。これは時価総額加重の仕組み上、少数の大型株が下にある弱さを覆い隠しているからです。

前四半期はS&P企業の84%が利益予想を上回り、2021年の景気刺激ブーム以来最高の達成率でした。表面は綺麗ですが、足元は割れています。

マイクロン vs ナイキ──同じ指数、正反対の運命

私が見る限り、今期最も劇的なペアはマイクロン(MU)とナイキ(NKE)です。マイクロンは安値から523%上昇、同期間にナイキは54%下落。両方ともS&P 500構成銘柄です。インデックスを買うことは両方を保有することを意味し、マイクロンの急騰をナイキの急落が削っています。

これを「分散投資」と呼びますが、私の見方では「判断回避」に近い。資金がどちらに流れているかを見れば、どちらが構造的勝者でどちらが斜陽かはかなり明確で、インデックスはその判断を放棄するように設計されています。

このローテーションを動かす3つの力

市場は暴落しているのではなく回転(ローテーション)しています。プール全体の水量は同じで、一方が深くなり他方が干上がっている状態。3つの力がそれを動かしています。

第一に、インフレが戻りました。CPIは3.8%でFRB目標2%のほぼ2倍。エネルギーコストは+18%、ガソリンは+28%。この環境ではハードアセットと商品がペーパーアセットに勝ちます。

第二に、NAAIMエクスポージャー指数が97/100。アクティブマネージャーがほぼフルポジションだという意味で、椅子が3つしか残っていない状況で97人が既に座っている椅子取りゲームです。新規資金が価格をさらに押し上げる余地はほぼありません。

第三に、実質賃金がマイナス。名目給与は上がっていても物価上昇の方が速いため、米国消費者は実質的に貧しくなっています。これがナイキ、広告、出版など消費者向け業種が崩れている本当の理由です。

インデックスの中で静かに死んでいる業種

具体的にどこから資金が抜けているか:

  • 靴製造: -37%(ナイキ -54%)
  • コンサル・専門サービス: -30%(ブーズ・アレン -50%)
  • 出版: -43%
  • 広告: -29%(WPP -67%)
  • 林産物: -36%

パターンが見えますね。AIに食われているか、弱った消費者に依存しているか──そしてすべてあなたのS&P 500 ETFに入っています。

同じ1万ドルでも4倍以上の差が出る

2年前にS&P 500に投じた1万ドルは現在約1万3000ドル。同じ金額を上昇業種に集中していれば4万〜6万ドル、下落業種に集中していれば3000〜5000ドルだった可能性があります。証券口座は「+9%」と表示しますが、その9%はロケットと沈没船の平均値であり、その内部の分散こそが本当の物語です。

ではどう動くべきか

私は「バイ&ホールドは完全に終わった」という極端な主張には与しません。ただし無検証のバイ&ホールド──インデックスの中で資金がどこに流れているかを確認しない運用──は2026年環境では高くつくと考えています。実践的なチェックは3つ。

  1. 負け組業種への露出を点検:靴、コンサル、広告、出版の比率は意図したものか
  2. 勝ち組セクターの比重確認:エネルギー(+28%)、素材(+14%)、テック(+16%)が時価総額加重以上に入っているか
  3. レジーム指標の監視:NAAIM 97、実質賃金マイナス、CPI 3.8%──この3条件が続く限り同じ流れが続くと見ます

リスクと反論

もちろん「150業種を毎週追えばアルファになる」保証はありません。ローテーションは急反転することもあり、低コスト・税効率というインデックスの構造的強みは依然として強力です。ただ、同じ指数の中に+523%と-54%が同居している市場では、自分が何を持っているかを知っていることと知らないことの差は大きいと考えています。

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Ecconomi

米国大学 Finance & Economics 専攻。証券会社レポートアナリスト。

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