S&P 500の半数がマイナス — 市場下落からミスプライシングを見つける方法
S&P 500の半数がマイナス — 市場下落からミスプライシングを見つける方法
S&P 500の構成銘柄中270以上が年初来マイナス。まだ第1四半期も終わっていない段階でだ。一方でサンディスクは年初来+185%。
この極端な格差が意味するのは何か?今は全てが同じ方向に動く市場ではない。ミスプライシングが至るところに潜んでいる市場だ。
核心分析 — ミスプライシングはどこで生まれるか
長年の市場観察で確信していることがある。ニュースは株価に追従する。逆ではない。
株が下がれば下落を正当化する記事が溢れ、株が上がれば同じリスクが無視される。このフィードバックループが感情的売りを生み、価格を本質的価値以下に押し下げる。そこにチャンスが生まれる。
マグニフィセント7の52週高値からの下落率を見てみよう。
| 銘柄 | 52週高値からの下落率 |
|---|---|
| マイクロソフト | -31% |
| メタ | -24% |
| テスラ | -23% |
| アマゾン | -19% |
| エヌビディア | -17% |
| グーグル | -13% |
| アップル | -13% |
数字自体より重要なのは下落の速度だ。これほどの規模の企業がこの速さで下落するのは珍しい。そしてこの速度は、感情的な売りがかなりの部分を占めていることを示唆している。
感情的売りがある場所にミスプライシングがある。
52週安値近辺 — 分析のスタートライン
52週安値近辺にある銘柄名を見ると驚く。ビザ、プロクター・アンド・ギャンブル、ホームデポ、ノボ・ノルディスク、アボット・ラボラトリーズ、ユニリーバ、ストライカー、ソニー、アクセンチュア、プログレッシブ、アドビ。
スモールキャップでもミーム株でもない。世界最大級の企業群だ。
ここに注目する理由は「安いから買おう」ではない。市場がマクロヘッドライン — イラン紛争、原油高、利上げ懸念 — に過剰反応し、ファンダメンタルズが健全な企業まで無差別に売られた可能性が高い場所だからだ。
株価が下がったことは「より良い」価値を意味するが、「良い」価値を意味するとは限らない。ここが出発点であって、結論ではない。
分析プロセス — 価格と価値を比較する
私が使うフレームワークはシンプルだ。
個別銘柄を取り上げ、今後10〜20年のビジネス見通しについて仮定を立てる。売上成長率、利益率、将来のバリュエーション・マルチプル。この仮定に基づき、自分が求めるリターン率から現在の適正価格を逆算する。
数字が魅力的なら深堀りする。そうでなければウォッチリストに入れ、価格が合う時を待つ。
個人投資家の最大の強みは忍耐力だ。機関投資家は四半期ごとの成果を問われるが、個人は待てる。ヘッドラインを無視できる。パニックに陥る必要がない。望む価格が来るまで座っていられる。
リスクと反論
もちろんこのアプローチにもリスクはある。
第一に、将来の仮定が間違う可能性がある。売上成長率を5%と置いたのに実際は-2%なら、バリュエーションモデル全体が崩壊する。だから保守的な仮定が重要だ。
第二に、マクロ環境が長期化する可能性がある。イラン紛争が予想以上に長引き原油が100ドル以上で定着すれば、ほぼ全企業の利益率が圧迫される。
第三に、機会費用だ。「もっと安くなるかも」と待ち続ければ、結局何も買えない可能性がある。だからDCAと併用する。ベースはDCAで敷き、明確なミスプライシング時のみ追加投入する。
完璧なタイミングは存在しない。しかし合理的なプロセスは存在する。
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