シラーPE歴代2位、ウィルシャー/GDP比230%:大転換(グレート・マーケット・フリップ)は近いのか
シラーPE歴代2位、ウィルシャー/GDP比230%:大転換(グレート・マーケット・フリップ)は近いのか
市場が発している警告シグナル
シラーPEが歴史上2番目の高水準に達している。ウィルシャー5000/GDP比率は230%と、過去に一度も記録されたことのない領域だ。この数字が示す意味を冷静に分析してみた。
最近の市場を見ていて最も目を引くのは、バリュエーション指標が同時多発的に極端な値を記録している点だ。AI楽観論に酔いしれている間に、市場の温度計は危険水準の熱を検知している。
シラーPE:ドットコムバブル以来の最高値
シラーPE(CAPE ratio)は、S&P 500のインフレ調整済み10年平均利益に対する株価を示す指標だ。通常の範囲は18〜20だが、現在は歴史上2番目の高さにある。ドットコムバブル時のピークをほぼ超えようとしている。
ドットコム時代も「今回は違う」と言われていた。インターネットが全てを変えるという期待が、実質利益をはるかに超える株価を正当化していた。今日のAI熱狂との類似点は否定しがたい。
ウィルシャー5000/GDP比率:前人未到の230%
バフェットが好んで使うこの指標は、米国の全上場企業の時価総額をGDPと比較するものだ。120〜140%を超えると投資家の間で過熱警報が鳴り始めるが、現在は約230%。
この水準は歴史上一度も記録されたことがない。
投資家は実体経済が生み出す価値の2.3倍のプレミアムを企業に付けていることになる。
バークシャー・ハサウェイの4,000億ドル現金ポジション
バフェットのバークシャー・ハサウェイが約4,000億ドル(約60兆円)の現金を保有しているという事実も見逃せない。AIや量子コンピューティングが急騰する中、なぜこの資金を投入しないのか。
バフェット自身が認めているように、10年前と比べて理解できるビジネスの割合が減っている。新しい産業を学べておらず、その分野では若い世代に勝てないことを自覚している。
しかし、より根本的な理由は「価格」だ。良いビジネスはあるが、今の価格では買えないという判断だ。4,000億ドルを持っていても投入先が見つからないという事実は、市場の価格水準について多くを物語っている。
大転換への備え
私の見立てでは、市場は二つの相反する力の間に挟まれている。
一方にはAIインフラ、量子コンピューティング、ロボティクスといったイノベーションテーマが強力な上昇モメンタムを生み出している。もう一方には、歴史的なバリュエーション負担、粘着性のあるインフレ、地政学的リスクが下方圧力をかけている。
過去のデータが教えてくれることは明確だ。バリュエーションがこの水準に達した後、市場が無傷で済んだことはない。急落か、長期的な低リターン期間か——形は異なるが、何らかの調整は避けられない。
今できる最も賢明なことは、攻めと守りのバランスだ。成長テーマに完全に背を向ければ機会を逃し、全力投入すれば調整時にポートフォリオが大きく揺らぐ。自分のリスク許容度の範囲内でポジションを維持しながら、現金比率を通常より少し高めに保ち、次の好機を待つ姿勢が重要だと考える。
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