マイケル・バリーの『クジラ・フォール』戦略:AIバブルを警告しながら買い込んだ不人気株
マイケル・バリーの『クジラ・フォール』戦略:AIバブルを警告しながら買い込んだ不人気株
TL;DR マイケル・バリーはAIトレードがドットコム型バブルに向かっていると警告する一方で、無視された非AI銘柄9つを静かに買い集めている。彼の論理は『クジラ・フォール』——皆が上を泳ぐクジラ(AI)ばかり見ている間に、まっとうな企業が海底に沈み、割安のまま見捨てられている、というものだ。
バブルを警告した本人が『買い』を押した
バリーの言葉と行動は、一見すると矛盾に見える。片方では「AIバブルはもうすぐ弾ける」と警告しながら、もう片方の手では株を買い増しているのだから。
私が彼の直近の売買を精査していて最も惹かれたのが、まさにこの点だ。すでに保有していた2銘柄は単なるナンピンではなく、確信を持った買い増しだった。まったく新しい銘柄を2つ組み入れ、うち1つを自ら『高確信ピック』と呼んだ。そしてまだ名前すら明かさない1銘柄を、今も見張っている。この人は偶然で株を買うタイプではない。だから私は『真似しよう』ではなく、『なぜ?』という問いから出発した。
2008年をまるごと当てた経歴
バリーを知らないなら、この一文で十分だ。彼は皆が『大丈夫』と言うときに、データだけを見て反対側に立った人物である。
2000年代半ば、あらゆる銀行・アナリスト・専門家が住宅市場は健全だと言っていたとき、バリーは実際のデータを掘り下げて崩壊を予測し、その反対に賭けた。2008年に住宅市場が崩れ、金融システム全体を巻き込みかけたとき、彼と投資家は7億ドル超の利益を上げた。この物語が映画『マネー・ショート』だ。
はっきりさせておきたい。私はバリーが買ったからという理由で買えとは言わない。ネットで誰かが触れたからと『買い』を押すのは、投資で最悪の習慣だ。私が注目するのは銘柄ではなく『プロセス』——1ドルを使う前に、実際の数字を先に見ること。結局のところ、群衆と自分を分けるのはこれ一つに尽きる。
『クジラ・フォール』という一語
バリーが今やっていることすべての土台に、『クジラ・フォール(whale fall)』という概念がある。
クジラが海で死ぬと、その体は深海の底へ沈む。そして海底で、上を泳ぐクジラばかり見ていた者たちが見逃していた無数の生き物の生態系を養う。バリーは今、株式市場でまさにこれが起きていると見る。
皆がAIを見ている。エヌビディア、マイクロン、AMD、そしてAIの物語が少しでも付いた名前なら何でも。資金も注目もすべてそこへ流れ込む。その結果、事業が壊れたわけでもないのに、ただ『AI銘柄ではない』という理由だけで海底に放置されたまっとうな企業が生まれる。バリーはまさにその企業を買い集めている。彼自身の言葉を引けば——『これらの銘柄は、主役の見世物から遠く離れた場所で起きている巨大なクジラ・フォールの一部だ』。
彼は暴落を待っていない
バリーの戦略で最も誤読されやすいのがここだ。彼は今『暴落に備えて』いるのではない。暴落の『後』に向けて、すでに陣取りを終えているのだ。
バリーは数か月にわたり、AIトレードがドットコム型バブルに変わりつつあると——少なすぎる銘柄を多すぎる資金が追う構図だと——警告してきた。AIの寵児たちの結末は良くない、と。だが皆がその議論に釘付けになっている間に、彼は死んだも同然に見捨てられ、叩き売られ、無視され、割安になった9銘柄のポートフォリオを静かに積み上げてきた。
彼自身の言葉が、この戦略を最もよく言い表している。『期待の重い銘柄の時価総額がただ蒸発するとき、期待の軽い銘柄が水面へ浮かび上がるだろう』。
ちなみに5月時点では、マイクロソフトとMSCIを買い、セールスフォースを見張り、ペイパルとアドビのポジションを積み上げている最中だった。それ以降、彼は減速するどころか、むしろ一段と踏み込んでいる。
優れた投資が心地よく感じられることは稀だ。その居心地の悪さこそがミスプライシングを生み、バリュー投資家が100年以上にわたり市場を上回ってきた源泉である。ただ、一つだけは強調しておきたい——バリーが買うからといって、バリーへの熱狂ゆえにさえも、買ってはいけない。自分が何を持ち、それがいくらの価値かを自分で知ること。それがすべてだ。
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