なぜ私はスモールキャップ(IJR)に賭けるのか
なぜ私はスモールキャップ(IJR)に賭けるのか
なぜ今スモールキャップか
スモールキャップはここ数年、ビッグテックに完全に隠れてきた。それでも私はIJRをロングで保有している。
チャートだけ見れば答えは明白に見える。IWM/SPY比率を長期で広げると、ラージキャップロング・スモールキャップショートはほぼ一方通行のトレードだった。「なぜわざわざ小さい方を買うのか」と聞かれるのは自然だ。ただ、市場がそんなに単純なら全員が金持ちになっている。
私の仮説はこうだ。AI設備投資の本当の受益者は、データセンターに数十億ドルを注ぎ込むメガテックではなく、そのインフラをほぼタダで借りている小さな企業の方だ。
コストは上が払い、効率は下が取る
これは自分のビジネスで実感している部分だ。私たちは小さなソフトウェア会社で、データセンターには1ドルも投資していない。それでもAIツールを使って、以前なら半年かかっていたビルドを数週間で出せるようになった。人件費はほぼ同じで、産出は何倍にもなっている。
これは一社の話に聞こえるかもしれないが、米国全土の数万社のスモールキャップが同じ効果を享受している。ビッグテックが敷いたAIインフラの上でマージンを広げるのは、結局のところスモールキャップだというのが私の見方だ。
ビッグテックが終わるという話ではない。ハイパースケーラーはインフラ事業者として引き続き好調だろう。ただ、価格はすでにそれを織り込んでおり、スモールキャップはこの恩恵をほとんど織り込んでいない、ということだ。
IWMではなくIJRを選んだ理由
同じスモールキャップでも、IWM(Russell 2000)とIJR(S&P SmallCap 600)は構成が異なる。
| ETF | 連動指数 | 採用基準 |
|---|---|---|
| IWM | Russell 2000 | 時価総額のみ — 赤字企業を多数含む |
| IJR | S&P SmallCap 600 | 黒字要件あり — クオリティフィルタ |
IWMにはゾンビ企業が多すぎる。私はAIで効率を引き上げる「生きているビジネス」に賭けたいのであって、金利負担に耐えられない限界企業に賭けたいわけではない。 だからIJRだ。クオリティとグロースが混在し、黒字という最低条件が敷かれている。
短期トレードでは追いかけない
長期ポジションはすでに保有している。ただし短期アクティブの観点では、チャートはすでに追いかけるには高すぎる。Russell 2000で38.2%リトレースメントと直前のレンジ上限まで戻ってきたら、追加で入る予定だ。来なければ入らない。それだけのルールだ。
投資(IJRの長期保有)とトレード(Russellの短期)を分けて考えるのが鍵だ。同じ資産クラスでも時間軸が違えばエントリー基準も変わる。
リスクは確実にある
- 金利が再上昇すれば、スモールキャップが最初に叩かれる。負債比率がラージキャップより高い。
- 「AI効率 → マージン拡大」の仮説が実際の決算に出るまでには時間がかかる。
- 景気減速のサインが出れば、直前まで強かったスモールキャップが最初に崩れる。
それを承知の上で保有している理由は、数年単位で見たときにメガキャップとスモールキャップの相対バリュエーションがあまりに開きすぎているからだ。完全な平均回帰でなくとも、部分回帰だけで十分なアルファになる。
これは投資勧誘ではない。あくまで私の仮説であり、トレードはリスクが高いという点は常に忘れないでほしい。
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