AIの恐怖に沈むソフトウェア二強:AdobeとSalesforceのバリュエーション比較

AIの恐怖に沈むソフトウェア二強:AdobeとSalesforceのバリュエーション比較

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TL;DR Adobe(時価総額980億ドル)とSalesforce(1,500億ドル)は、いずれもAIへの恐怖で約30%下落。Adobeは負債が少なく、買収なしで成長し、投下資本利益率27〜38%と圧倒的です。Salesforceは負債(約700億ドル)も買収も多いですが、乗り換えコストの高さで売上がはるかに粘着質です。私のDCF中央値はAdobe565ドル(約22%)、Salesforce355ドル(約19.5%)です。

同じ恐怖、異なる事業

AdobeとSalesforceは今年そろって叩かれました。理由も似ています――AIが自分たちを置き換えるという恐怖です。

AdobeはPhotoshop、Acrobat、Illustratorを手がけます。大半の顧客が月額サブスクリプションを払うため、景気に関係なく毎月キャッシュが安定して入ってきます。ところが「AI画像生成ツールがAdobeなしでデザインを作ってしまう」という恐れで株価は約30%下げました。

私の見方は少し違います。実際に一部のAIツールに画像作業をさせると、最近は「これはFireflyのようなAdobe製品を使え」と自ら投げ返す場合すらあります。しかもAIが作る画像の一貫性の問題は依然残っています。何より、Adobeの顧客はプロです。その証拠に売上も利益も伸び続けています。

Adobe:負債が少なく、買収なしで成長

Adobeの時価総額は980億ドル、企業価値は1,080億ドル。その差約110億ドルが負債です。昨年のフリーキャッシュフローは103億ドル、5年平均80億ドル。純利益をはるかに上回るこのフリーキャッシュフローこそ事業の本当の血液です。現在の株価はフリーキャッシュフローのわずか9.5倍です。

投下資本利益率は直近5年で年27%、昨年は38%。四半期売上は直近2年の同四半期が51.8億→57.1億→64億ドルと伸び続けました。「事業が悪化している」という市場の言葉とは正反対です。

さらに決定的なのは史上最高値との比較です。Adobeの株価は2021年に700ドルで頂点をつけました。当時の売上は158億ドルでしたが、今は240億ドルと50%大きい。利益も48.2億から72.1億へ50%増えました。事業は最高値のときより明らかに良くなっているのに、株価はその頃よりずっと下です。株価が上がったから正当化されるわけではないのと同じく、下げたから事業が悪化したわけでもありません。

Salesforce:粘着質だが重い

Salesforceは顧客管理ソフトウェアの首位です。ある会社が事業をSalesforceの上に築いてしまうと、別のソフトへ乗り換えるのは非常に難しく高くつきます。だから売上が粘着質です。今年31%超下げ、大型ソフトの中で最悪の成績でしたが、事業はなお高い収益性を保ちながら成長しています。

時価総額は1,500億ドル、負債は約700億ドルとAdobeよりはるかに重い。ただし昨年のフリーキャッシュフローは150億ドル(5年平均100億ドル)で純利益を大きく上回ります。フリーキャッシュフロー対株価は10.25倍でAdobeと同水準です。

投下資本利益率はAdobeより低いものの改善中です。利益成長率は10年で年11%、5年で年12%でしたが、昨年は突然18.73%へ跳ねました。これが一時的なのか、新しい水準なのかが私にとって最大の問いです。買収が多かった点も踏まえる必要があります。

並べて見ると

項目AdobeSalesforce
時価総額980億ドル1,500億ドル
純負債約110億ドル約700億ドル
フリーキャッシュフロー(昨年)103億ドル150億ドル
株価/フリーキャッシュフロー9.5倍10.25倍
投下資本利益率27〜38%低いが改善中
買収依存度低い高い
乗り換えコスト(粘着性)相対的に低い非常に高い
今年の下落幅約30%約31%
DCF中央の期待リターン約22%約19.5%

二社の性格は明らかに異なります。Adobeはサブスク解約が比較的容易ですが、負債が少なく買収なしで成長し、ROICが圧倒的です。Salesforceは負債も買収も多いですが、営業組織全体が乗っているソフトなので離脱がはるかに難しい。

私のバリュエーション

Adobe。 売上成長3/6/9%、フリーキャッシュフロー・マージン37/40/43%(中央40%は直近5・10年の実績)、10年後のPER18/21/24倍、要求リターン9%を入れました。結果は安値375ドル/高値844ドル/中央値565ドル、中央の期待リターン約22%。粗利率が80%台なので、売上が伸びるほどマージンは改善する余地があります。

Salesforce。 売上成長5/7.5/10%、フリーキャッシュフロー・マージン25/30/35%、10年後のPERは低め14/中央18/高め22倍(ROICがまだ低くプレミアムを大きく付けられない)、要求リターン9%。結果は現在値175ドルに対し安値210ドル/高値577ドル/中央値355ドル、中央の期待リターン約19.5%。

私が正しいと断言しているのではありません。ただ、このような銘柄が30ほどあり、どれも株価の下値は限定的なのに売上・利益は良くなっているなら、全体としてはかなり良い成果になる可能性が高いと見ます。いくつかは外れ、いくつかは期待以上に伸び、多くは私の推定近くに収束する――それが私の狙う絵です。

このアプローチの出発点が気になるなら、まず52週安値の狩り方を読むことをおすすめします。(開示:Adobeは私も保有しています。ただし私が持っているという理由で買わないでください。大切なのは銘柄ではなくプロセスです。)

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Ecconomi

米国大学 Finance & Economics 専攻。証券会社レポートアナリスト。

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